小規模ファームを選ぶ理由とは|第2回 小規模ファームのリアルな姿(前編)

代表取締役社長 CEO
マネージングディレクター
永松 正大


シニアマネージャー
浅川 実


関西オフィスリード
堀井 史


アソシエイト
鈴木 龍馬

■大手にはない「現場感覚」――小規模ファームならではの魅力

永松 :
大手ファームと小規模ファームであるアクティベーションストラテジーの両方で働いてみて、大きく違うなと感じることはありますか?

堀井 :
コンサルティングワークにおける違いは無いですね。ただ、役職にかかわらず全体を俯瞰しながら業務を進めていくという点は、大手ファームと異なる当社の特徴だと思います。

浅川 :
案件に対する上位役職者の関与の仕方も大手ファームとは違うと感じています。

堀井 :
そうですね。大手ファームの場合、パートナーやディレクターといった上位役職者が日々の討議会や分科会に参加することはありません。しかしながら、現場の状況を把握するためにも、当社では上位役職者がそういった会議に参加しますし、それ以前にヒアリングにも頻繁に顔を出します。コンサルティングが好きな根っからのコンサルタントの集まりといえますね(笑)

永松 :
小規模ファームということもあるけれど、業務に対する責任を感じているので現場への顔出しは意識して対応しています。一方、大手ファームの場合、コンサルタントは業界と領域で切り分けされるイメージがありますが、実際はどうなのでしょうか。

浅川 :
大手ファームでは、基本的にスペシャリストを育てていく方向に舵を切っていると思います。 類似した案件を徹底的に取り組むことで、若い頃から専門性を高めさせようとしていますので、最初に成果を出すと業界や領域が固定化される可能性は高いかもしれません。

堀井 :
確かにそうかもしれないですね。

浅川 :
多くの案件に参画したい、バラエティに富んだ仕事をやりたいと思っていても、たまたま入ったプロジェクトで気に入られてしまうと、囲い込まれるというジレンマに陥るコンサルタントもいるのではないでしょうか。

■ジェネラリストかスペシャリストか──キャリア形成の柔軟性

永松 :
なるほど。専門性を高めたい、自身の強みを構築したいと考える人には大規模ファームは良い環境かもしれません。一方で、業界や領域にとらわれずに幅広く裁量をもってコンサルティングをしたい、経験を積みたいと思う人には向いていない可能性もありそうですね。

浅川 :
ええ、合う、合わないがあると思いますが、若いうちは自分のコンサルティングスタイルや方向性が定まっていないことが多いですから、あまり最初から決めつけない方が良い人もいるでしょう。また、数多くの業界や領域、テーマを経験したいという人もいると思いますので、そういう皆さんには当社の柔軟性は魅力的ではないでしょうか。

永松 :
当社のコンサルタントは、傾向的にスペシャリストというよりジェネラリスト志向です。クライアントの業種や相談内容に関わらず、まずは話を聞くことができるような人になって欲しいと思います。特定の領域しか知りません、それ以外は答えられません・・・では経営者の悩みに対峙できると言えないですよね。その点について、若手の鈴木さんはどう感じますか。

鈴木 :
私は困難なこと、高いハードルこそ面白い!とポジティブに捉える性格であるため、当社はチャレンジできることが多くある魅力的な環境だと感じました。

永松 :
いいですね!これまでの経験から、どういう人が大手ファームに向いているのか、どういう人が小規模ファームに向いているのかというポイントについて、どのように考えていますか。

鈴木 :
特殊な領域、例えばサスティナビリティ等に興味がある場合、大手ファームの方が部署として設立されている場合が多いため、大手ファームの方が良いかもしれません。

堀井  :
一方、やりたい領域などが見つかっていないとの理由で幅広い領域を経験したい場合や、チャレンジしたいことが多い場合には小規模ファームの方がコンサルタントとして参画できる案件が多いのではないかと思います。一方で、当社は主体的にチャレンジする姿勢に非常にポジティブに評価する社風ですので、能動的に動けない人やフリーライドをするような人には合わないと思います。

■若手が成長するために求められるマインド

永松 :
そうですね、大手ファームとは違い、当社のような小規模ファームでは求められるマインドが異なりますね。

堀井 :
たとえば資料作成でいうと、大手ファームでは若手は資料の全体を理解せずに、部分的に作成するという単なる作業になりがちなケースも見受けられます。しかしながら、当社の場合はアソシエイトであっても案件や資料全体を俯瞰、理解した上で担当ページを作成することが求めています。それはデリバリーの資料だけでなく、提案書も同様です。かなり高い要求ではありますが、視座を高めていくことはコンサルタントの成長には極めて必要なことと言えます。

永松 :
大手ファームに比べ、当社のコンサルティングワークはハードですが、真面目に取り組んでいくと成長度合いは変わっていきますね。

堀井 :
はい、違うと思います。さらに当社のように小規模ファームの場合、上位役職者と接する時間が長くなるので、彼らがどういうことを考えているのか、お客様とどのような会話をしているのかを間近で見ることができます。取組姿勢によって自然と視座が上がる環境でもあります。

鈴木 :
アソシエイトと上位役職者との接点が多いことは、学べることも多く良い環境だと感じています。

永松 :
上位役職者の考えを理解できるようになると、自分のやりたい仕事に近づくチャンスが若手にも十分ありそうです。

浅川 :
そうですね。ただ、大手企業のコンペで同じ内容・レベルの提案が並んだ場合、多くの企業は知名度の低い我々ではなく大手ファームを選ぶ可能性が高いです。そのような状況で案件を獲得するためには、クライアントの期待値を超えた提案をしなければいけません。より深く多角的に考える、アウトプットの質を高めるという意識が必要であり、そうした高い視座やマインドを持ち続けられることが成長に繋がると思っています。これは、若手だけではなく全員に当てはまりますね。

■様々な取組がもたらす「成果直結」のやりがい

永松 :
当社では、案件の性質にもよりますが中小・中堅企業がクライアントのボリュームゾーンになっています。クライアントの企業規模によるコンサルティング業務の違いはありますか?

堀井 :
課題の質という切り口では、クライアントの悩みは企業規模で基本的には変わらないなと思います。

浅川 :
ただ、課題の深刻さは中小・中堅企業の場合、経営に影響が出やすいこともあり、話を伺うと切羽詰まった状況を感じることがあります。一方、大手企業は資本や規模的にも余裕があるためか、課題はあってもその取組がなかなか進まない場合があります。

永松 :
特にオーナー企業の場合には本気度をひしひしと感じることもありますよね。

浅川 :
そういった違いがあるので、一概に大手企業との取組がコンサルの成長に繋がるというわけでもないですし、逆に中小・中堅企業との取組の方が成果に直結する可能性もあり、大変ですがやりがいと達成感はあると思います。

堀井 :
私は大手企業、中堅企業の両方のケースを担当しています。

永松 :
どう感じていますか。

堀井 :
中小・中堅企業の例を出すと、全社業務改革がテーマだったのですが、最終的に経営層の人事や評価制度の領域まで踏み込み、クライアントのあらゆる課題を洗い出して取り組みました。

永松 :
オーダーの時点でそこまで踏み込む依頼を受けることはほぼ無いと思うのですが、どのようにして領域を広げたのでしょうか。

堀井 :
正直、意図して行ったわけではありませんでした。当初、DXに取り組みたいとの要望をいただいていたのですが、そもそもシステム部門が無かったためDX部署を作ることを提案しました。

永松 :
なるほど。

堀井 :
さらにお話をうかがっていくと、経営陣が考えている以上にシステム部門のほかにも会社として必要な部署・機能が足りていないことが明らかになりました。そういった現状を正直に説明したところ、ご理解をいただいて取組領域が広がっていきました。領域が広くなりハードな案件でしたが、非常にやりがいがありました。

永松 :
クライアントと正直に話ができる関係性がポイントでしたね。大手企業のケースはどうでしたか。

堀井 :
大企業のケースは小規模な案件であっても、企業規模が大きいため実行した時に与えるインパクトも大きくなる傾向があります。準備や経営陣の理解を得るといったことに時間はかかりますが、体力のある大企業だからこそ案件規模にかかわらずじっくり取り組むべきであると改めて感じました。

永松 :
やはり、様々な案件に関わることで気づきや経験が増えていきますね。

堀井 :
そう思います。

【連載予定】
第1回 なぜ彼らは大手ファームから小規模ファームへ移ったのか
第2回 小規模ファームのリアルな姿(前編)
第3回 小規模ファームのリアルな姿(後編)
第4回 これからのキャリアと理想の組織像とは